江戸川乱歩ベストセレクション2 芋虫

乱歩ベストの第2巻は

  1. 芋虫
  2. 火星の運河
  3. 白昼夢
  4. 踊る一寸法師
  5. 夢遊病者の死
  6. 双生児
  7. 赤い部屋
  8. 人でなしの恋

の9篇と、三津田信三さんの解説を収録です。

しかーーーーし

『芋虫』は昭和4年発表当時のものらしく(?)、内容が多少削除されています。
例えば、手元にあった創元推理文庫の「江戸川乱歩集」に収録されている『芋虫』と比較してみますと

彼女は狂気のようになって、
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
(角川文庫版 p.14)

彼女は、狂気のようになって、癈人にいどみかかって行き、大島銘仙の風呂敷包みを、引きちぎるように剥ぎとってしまった。
すると、その中から、なんともえたいの知れぬ肉塊がころがり出してきた。
創元推理文庫版 p.418)

このように、結構な箇所で削除があるため、内容が追えません。
「不具者」や「片輪」など素敵ワードはそのまま使われているのに、なぜ検閲部分はそのままにしておくのか・・・。
これじゃ時子が須永中尉の●を●した理由がよくわからなくなっています。


『芋虫』を初見の人は、角川文庫版ではなく創元推理文庫版を読むことをお勧めします。


芋虫 - 江戸川乱歩 (角川文庫)

日本探偵小説全集2 江戸川乱歩集(創元推理文庫)