赤々煉恋

「せきせきれんれん」と読みます。
英語タイトルは"Burning Loves"。
愛をテーマとした短編集です。
といっても、「花まんま」のダーク・ファンタジーと「水銀虫」の後味の悪さを足して2で割ったような感じの方向性を持つ作品ばかりなので、"綺麗な朱川"作品が好きな人にはお勧めできません。


収録作品:

  1. 死体写真師
    若くして妹を亡くした姉が、「死体をまるで生きているかのように撮る」写真家に依頼する。
    これが一番救いがなくてホラー。
  2. レイニー・エレーン
    出会い系サイトで一時の情事を求める男が、初恋の人を思い出す。
    本人的には幸せエンド?
  3. アタシの、いちばん、ほしいもの
    どこにも居場所がない女子高生が、街で奇妙な「虫男」を見かける。
    伏線が凝っていて、読後の欝感が半端ないです。
  4. 私はフランセス
    新興宗教にハマっている家庭に生まれ、無意識に物を盗んでしまう病気の少女が、愛を見つける話。
    マイノリティの悲哀と、それゆえに強い結びつきを描いています。
  5. いつか、静かの海に
    父子家庭で虐待を受けている少年が、奇妙な青年と「お姫さま」に出会う。
    「白い部屋で月の歌を」に通じる、幻想的で美しい作品です。


赤々煉恋

赤々煉恋 (創元推理文庫)

赤々煉恋 (創元推理文庫)